「野原歩美(のはらあゆみ)。」 そう言ったあと。 パァーっと向こう側から夕陽のオレンジ色が、差し込むと、灰色の空を明るく照らしてくれた。 「これで会うのは最初で最後だけど。……結衣ちゃん。どうか、幸せになってね。」 「ありがとう。歩美ちゃん」 暗く閉ざされていた道が、ようやく開けた瞬間。 私たちは、最後に二人で空を見上げた。 そのとき、空にうっすらと虹がかかっているようだった。