「もうっ!私、子どもじゃないってば!」


むぅーっと頬を膨らませると、それを指でつつきながら「そんなことしてるところがまだ子ども」なんて言う奈央ちゃん。

……あ、つい癖でやってしまった。

というか奈央ちゃんの、綺麗な爪が若干刺さって痛い……。


楽しそうに私の頬をつついていた奈央ちゃんが「…あ。」と突然、声をあげると、私の頬から手を離す。


「そういえばね、一昨日三浦くんが放課後、教室に来たよ」


ドキッ──


えっ…?

向葵くんが……?

ど、どうして教室に……

だって私、確かにあのとき『もう終わりにしよう。』って向葵くんに言ったよね……


「なんか結衣に用があるみたいだったけど、休みだよって伝えたらそのまま帰っちゃって…」

「え、私に?」

「うん。結局何だったんだろうね」