何かを話し終えたあと、歩きだした二人。
私に気づくことなく、向葵くんはその子と並んで歩いて行く。
その姿は、とてもお似合いで。
まるで本物の恋人を見ているよう。
……胸が、痛い……。
……うう…っ、なにこれ……
二人が見えなくなるまで、その姿を私は見つめていた。
その間も「…どうして…」を繰り返し呟いていた。
ズキズキと痛む心の中。
ギューっと締めつけられる身体。
まるで金縛りにあったみたいに、そこから動けなかった私。
無理に唾を飲み込むと、のどの奥が苦しくて苦しくて、血の味が口いっぱいに広がっているようだった。



