「恋ってどうすればそれが恋だと分かるの?」


その問いかけに、奈央ちゃんが一瞬、ポカンとした顔をする。


「どうすれば、って……それを知るために三浦くんと付き合ってるんでしょ?」

「そうなんだけど……」


恋について理解できていない私は「なんていうか、こう、気持ちみたいなものを知りたいというか……」と段々と自信のない声になる。


「もー、しょうがないなぁ」


苦笑いしながら、読みかけの小説に栞を挟んで閉じた奈央ちゃん。

チラッとタイトルを見ると『この世界の果てに』なんて難しそうな言葉が並べられていて、すぐに視線を逸らす私。


「じゃあ結衣にとって、好きって何?」

「え、好き?」


何って言われても……


「好きは好きなんじゃないの?」