私と向葵くんは、ただ、お試しでお付き合いをしてる。

それは、お互い「恋」について知るために。

それ以上でもそれ以下でもなくて。

それなのに──…


「俺と結衣ちゃん、なんか運命みたいだね」


そう言うと、優しく微笑んだ向葵くん。


ドキっ──

小さく音を立てた、鼓動。


──そのとき、ふわ〜っと風が吹いて、私の髪を攫っていく。


どこからともなく流れてきた花びらが、私の頭にちょこんと乗っかる。

花びらに気づくと「あっ!」と向葵くんが、それに手を伸ばしてくる。


その手に、またドキッと反応して、思わず、ぎゅっと目を閉じる私。