そのあとすぐに。
「遅くなってごめんね…──って、何で康太がここにいるの?」
──えっ……
………この声。
あ、向葵くん!?
力強く閉じていた目を開けて、向葵くんがいるであろう方へ顔を向けると、バチッと視線が重なった。
「ああ、おかえり。向葵」
私の手を離さないまま佐野くんが、向葵くんに声をかける。
それに「ただいま…?」と疑問形で返す向葵くんの表情は、キョトンとしているようで。
「…それより二人とも何で握手してるの?」
そう言うと、向葵くんの視線は、私たちの手に注がれる。
──や、やばい。誤解される……っ!
そう思って振り解こうとしてみるけど、男の子の力に敵うはずもなくて。
そんな私を見て、フハッと吹き出した佐野くんは、そのあとにクックックッと笑いだす。



