「俺、日坂さんとこれから仲良くやっていけそう」
「え?だから何の話ですか…っ?」
もう一度聞いてみるけど、それに答えてくれる感じはなくて。
その代わりに「そういうわけで、はい!」と差し出された、手のひら。
「……な、何ですか?」
「握手しようってこと」
ニコリと笑った佐野くん。
まるでこちらの話なんか聞いてはくれなくて、自分のペースで話を進める彼。
……向葵くんとは、また少し違った雰囲気の佐野くん。
差し出された手のひらに困惑していると─
私の手をいきなり掴んだかと思えば、ギュッと握りしめられて、思わず、ドキッとする。
「あ、日坂さん、顔赤い」



