私のその問いかけに「うん、そう。」と答えたあと、私の隣の空いているスペースへ何の躊躇いもなく座った佐野くん。


「向葵が日坂さんにある事を持ちかけたのも、二人がお試しで付き合ってることも全部知ってる」

「えっ……」


それを聞いて、少し、ドクンッと不安な音が弾ける。

無意識にかばんを握りしめる手に力が入る。


「まあ、知ってるっていっても、俺が向葵に問い詰めたんだけどね」


その言葉に困惑しながらも「…問い詰めた…?」と小さな声で問いかける私。

それに「ああ、うん」と返事をした佐野くん。


「最近、放課後付き合い悪くなって『何でだろう?』と思って、向葵に聞いたんだよね。そしたら日坂さんと、って話になってさ!」