それを意識すると、どんどん加速する鼓動。

恥ずかしくてきゅっと唇を噛み締めると。


「……うん。俺も、握手でよかったかも。」


不意に、向葵くんがそんなことを言った。

その言葉の理解ができなかった私は「…え?」と小さく反応して、少しだけ上を向いた。

向葵くんの頬が、ほんのりと色づいているように見える。

えっ……?

緊張してる……?

手のひらから伝わる熱とは、またべつに、小さな鼓動が聞こえてくる。

それが私のものと重なって大きく聞こえる。


「ちょっと緊張するね」


恥ずかしそうにそう呟いた、向葵くん。

その熱が、伝わってきて、カァッとまた熱くなった。