私が“手を繋ぐ”ことが恥ずかしいということに気づいてくれた向葵くんが、“握手しよう”と言った。

握手なら、頑なに断わる必要はないのかな。

……だって、あいさつみたいなものだよね?

大人でいえば社交辞令みたいな。

それに私、最初のとき向葵くんと握手したもんね…。

……うん。それなら、大丈夫かも。


グッと唇を結んで、目の前に差し出された手のひらに、ソッと手を添えた。

すると、ぎゅっと加わる力。


ドキっ──

小さく、跳ねた鼓動。


あのときの握手とは何かが違うように思えてしまった気がした。


そこから伝わる熱が、じりじりと熱い。

私のドキドキが聞こえてしまうんじゃないかと心配する。