もーっ!
私がこんなにドキドキするのは向葵くんのせいなんだから…!
せめて何か言ってやる! そう思って勇気を振り絞り、向葵くんの方を向くけど「ん?」と微笑む向葵くんの瞳と視線が重なった。
その瞬間、プシューっと音をたてて、その意気込みが縮まる。
爽やかで、かっこいい。
こんな人に何も言い返せないや…
私は、静かに首を横に振った。
それを不思議そうに見つめる向葵くんだけど、それ以上追求されることはなく。
かわりに何かを思い出したのか「あ、そうだ。」と言葉を続ける。
「結衣ちゃん、この前理想がたくさんあるって言ってたけど。ほかに実践してみたいこととかある?」
「えっ、じ、実践…?」
そういえばそんなこと言ってた…!



