パニックになる私をよそに「結衣ちゃんがほっぺた膨らませてたから」と楽しそうに笑っている向葵くん。
私はこんなにドキドキしているのに、向葵くんは余裕たっぷりで、無意識に私を翻弄する。
……やっぱり、ずるい。
「……向葵くんって、案外意地悪なんですね」
両手で頬を抑えながらそう呟くと「そんなつもりはないんだけど。」と言って笑ったあと「…ただ。」と言葉を続けた向葵くん。
「さっきの結衣ちゃんがリスみたいで可愛かったから、つい触っちゃった」
ドキっ──
えっ……?
か、可愛かった…?
鼓動が“可愛い”という言葉に過剰に反応して、ドキドキと加速する。
うう〜、顔熱い……



