疑似恋愛だとしても、“恋人”っぽくしなきゃいけないのか。
……でも、向葵くんにタメ口なんて聞ける気がしないなぁ。
「まあ、最初は慣れないかもしれないけどさ、少しずつ敬語無しで話してみてほしいな？」
そう言うと、首をコテンッと可愛らしく傾げる向葵くん。
その姿に、きゅんっ、とときめいた。
……イケメン効果、ずるい…っ
そんな姿でそんなこと言われたら断わることなんて不可能で。
「……が、頑張ってみま……みるね。」
ああ。なんて私、単純なんだろう。
思わず、顔がカァッと熱くなる。
「うん。ありがとう！」
屈託のない笑顔を向けてくれる向葵くん。
