それとも別の何かがある…?
うーん、分からないなぁ。
考えに集中していると「じゃあさ」と声が聞こえたと同時に、パンッと手を叩く音が聞こえた。
何だろう? そう思って顔を向けると。
「これからは敬語抜きで話してみようよ!」
そう言って微笑む向葵くんの姿が目に入る。
それを聞いた私は「えっ…?」と目をまん丸にして驚いた。
「敬語だと距離を感じるから友達に話すような感じで話してみてよ」
「友達みたいな、感じで…?」
「うん。俺たち付き合ってるんだし、もっと恋人っぽくしてみないと、恋なんて分からないだろうからさ」
……あっ、そっか。
私も向葵くんも「恋」を知るために付き合ってるんだもんね。



