あっ……。

妄想に花を膨らませていたところだったのに、いいところで奈央ちゃんに邪魔されちゃったよ。


「もうっ……!奈央ちゃんのいじわる!」

「漫画と現実の区別がついてない結衣のために言ってあげてるんだからね」


そう言うと、呆れたように鼻で息を吐いた奈央ちゃん。


「私ちゃんと分かってるよ?漫画と現実の世界が違うことくらい」


そりゃあ、漫画の中の恋愛に憧れることはある。

でもだからと言って区別がついていないわけではなくて、ちゃんと架空のものなんだって分かってる。

それに、私にだってこういう理想の恋愛をしてみたい! という思いは密かに持っていたりもする……。