お父さんに、連れてこいと怖い顔で言われた。

さすがに今日の明日は難しいだろうと思い――玲哉くん、バイトもしてて生徒会でもあるから――連絡したら、バイトは碓氷くんに代わってもらうからお父さんに逢いに来るって言われた。

そこまでしなくても……と言ったら、こういうことはちゃんとしないといけないから、って、玲哉くんに押し切られた。

そして今日、うちと玲哉くんの家の途中で待ち合わせて、今隣を歩いている。

玲哉くんは「千波ちゃんも家で待ってていいよ」って言われたけど、玲哉くんには無理を言ってしまったわけだから、せめて迎えに行くぐらいはしたかった。

玲哉くんはよく帰り道を送ってくれるけど、家の中に入ったのはすごく疲れたと嘆いていたあのときだけだ。

……それどころか、玲哉くんは私と、本当に一緒にいるだけなんだ。

図書館では隣に座って、獲物でも見るようにじーと見て来るけど何もしない。

帰り道は並んで歩くけど、手を繋いだこともない。

一番近かったのは、やっぱりお疲れだった時に抱きしめたことだけだ。

……私、玲哉くんの彼女でいいんだよね?

それとも、恋人がするような関係はまだ早いと思っているとか?

そんなことを考えているうちに、うちについた。

ドアの前で深呼吸をする玲哉くん。

私は先にドアを開けて、リビングに入った。