「苗字だよ。司由羽って名前」

「え……。もしかしてだけど、ゆうって漢字、『自由』の『羽』って書く……?」

「うん。……なんで知ってるの?」

「俺の知ってる由羽だったとしたら、前に言った幼馴染の中の一人……」

「お、幼馴染の⁉ えーと、妹さんは羽咲ちゃんであってる……?」

「羽咲ちゃんのことも知ってるのっ?」

「この前お寺で司くんと羽咲ちゃんと逢った」

「それは由羽で間違いない」

「………」

「………」

思わず見つめ合ってしまった。これは……どういうこと? わたしと藍田くんには別のつながりもあったということ……? 

それって、どうあってもわたしは、藍田くんと出逢っていたかもしれないってことじゃ……?

藍田くんが先に天を仰いだ。

「あー、そっかー。由羽のやつ彼女出来たのかー」

「王子もなかなかの無自覚だったよ?」

「由羽はね、母親に似てるから仕方ないんだ。あー、俺も千波ちゃんの恋人名乗りたいー」

「だから藍田くんそういうことは……」

「好きだよ」