彼とのラブラブな雰囲気の中、親に会いたいという彼の願いを
叶えるべくドキドキしながら親に電話を掛ける。

何度か鳴る呼び出し音の後

「もしもし、綾瀬ですが・・・」

「あ、お母さん。お父さんいる?」

母に父を電話口に呼んでもらう。

「お父さん、実は結婚したい人が出来て、会ってほしいんだけど」

小さい頃からかなり怖い父、亭主関白そのものの父。

私は、勇気を振り絞ってそう言葉にしたのだ。



だが・・・・


「会わん!」 ガチャン!!


一言で電話は切られた。


事の顛末を彼に言うと、

「会ってもらえるまで何度も連絡してみよう」

と、優しい笑顔で私を励ましてくれる。

でも・・・それが何度も続くと、彼もイライラしてくる。

私は、親が祝ってくれなければ結婚はしたくない。

そうこうしていくうちに、もういっか~と私の方が、諦めてしまい
別れ話を切り出してさようなら。



もうこの展開は、既に6回にはなる。


私って、結婚できないかも・・・。


田舎の結婚は早い。

同級生たちは、どんどん結婚していき、私は遅い部類に入っていた。



「当分、彼はいらないかも・・・」

ポツリと呟き、一人暮らしの自分の部屋に帰った。