葉月くんの声と同時に、ガタンッと玄関の靴箱にもたれるように手をつくと、写真立てが倒れた。



「大丈夫か?」


「う……うん。熱も下がってきて、全然、大丈夫だから。もうすぐ……お母さんも帰ってくるし」



きっと寝起きで急に起き上がったせいかな、思うように身体が動かないのは。



「ごめん。ちょっと我慢して?」


「あの、葉月く……」



ちょっと……!?


あっという間に私の身体を支えてくれた葉月くんが、親切に部屋まで連れて行ってくれた。


静かに私の身体をベットに寝かせると布団までかけてくれる。


たった一言の台詞ではあったけど、台本まで届けてくれたのに、ここまでさせてしまって申し訳ないよね……。



「俺なんかに関わらなかったら、風邪も引かなかったんじゃないの?」



すとんとベットの前に腰をおろした葉月くんが、口調とは裏腹に心配そうに私を見た。