【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡



どうしようと焦っていると、葉月くんがこちらへとノロノロ移動してきた。



「……は、葉月くん!あのねっ!」


「なに?」


「本多くんのボールには───」



気をつけて……!!と、言おうとした私へ葉月くんが近づいたその時。



「おらァァァァァーーー!!」



それはもう子供のようにムキになった本多くんのボールが力いっぱい飛んできた。



「あっ、葉月くん!!危ない……!」



葉月くんの大事なメガネが……!!


それは、ほぼ無意識だったと思う。


私は、とにかく必死で。


自分のことでもないのに、素顔を隠しているのは私じゃないのに、心の底から焦っていて。


気づいたら、私は葉月くんの前に立っていた。



───ドンッ!!



頭に受けた衝撃を痛いと感じる間もなく、身体が言うことを聞かなくて。



「琴莉……っ!?」



倒れるかもと思ったところで、咲希ちゃんが叫んでいたけれど、数秒後、私は意識を手放した。



「羽澤───!」



遠くで、葉月くんの声が聞こえた気がした。