何かに気づいたのか、私の胸元に手を伸ばす。


ちょ、ちょっと……!?



「じゃあこれは?リボン曲がってるけど?」


「あっ……」



ヒラヒラと襟からぶら下がるリボンを揺らして、意地悪な笑顔を浮かべた。



「髪も乱れちゃったね?」



それは、走ってきたせい……だけど!!



「女子が苦手だって?どの口が言ってんの?」



正面の葉月くんを見れずにいると、なんてことない手つきで、元の位置にリボンを戻してくれた。



「だいたい俺が本当に女子が苦手なら───」



……と、言いかけた葉月くんのメガネ越しの瞳と目が合った瞬間。



「きゃ……っ」



多目的室の時と同じように、葉月くんが私の手首をキュッと捕まえるから、短い悲鳴が出てしまった。



「こんなことしないよ?」


「~~~~……!!」



みるみるうちに頬がかぁっと熱を帯びる。


不意打ちなんて、葉月くんズルい!