背後で気配がしたと同時に、慌てて振り向くと、資料室の扉が閉められていた。



「探偵のくせに、尾行ヘタすぎなんじゃない?」


「……っ、葉月くん!!」



神出鬼没とか聞いてないよ!


そこには、出口を通せんぼするみたいに扉に寄りかかって腕を組む葉月くんがいた。



「こんなとこまでついてきて、悪い子だね?」



開口一番、早速からかわれる。



「だって葉月くん、教室じゃちっとも話してくれないでしょ!」


「なに、謎でも解けた?」



窓際へと移動してこっちを向いた葉月くん。



「えと、もしかしてだけど……」


「うん?」


「葉月くんって……女子が苦手なんじゃない!?」



関わりたくないからこそ、あえて壁を作ってるのかも……と、昨日考えた。



「は?それ、素顔を隠す理由ってある?」


「……やっぱりそれは、素顔のままだと日常生活に支障が出るくらいモテちゃうからとか……それに、今だってこの前のことで、すごい噂だし」


「そんなこと言うために、必死になって俺のこと追いかけてきたの?」


「ひっ、必死になんかなってないよ……っ」


「へぇ」



口角を上げた葉月くんが、中指でメガネをすっと上げると……。