私達はしばらく放心状態……。


まだ掴まれていた手には葉月くんの体温が残ってる。



「だ、だ、誰なのよあの国家が認める程のイケメンは!?人違いで襲われるとか羨ましいんだけど!!」



当然、正体に気づくことのない咲希ちゃん。


ウチのクラスの陰キャ総選挙第一位のあの葉月くんですよ……。


なんて言えるわけもなく、なぜか葉月くんの出してくれた助け舟に救われたのだった。



結局……人違いだからどこの誰かもわからないと私も誤魔化したのだけど。



最大級のイケメンがこの学校に存在するらしい!と瞬く間に噂になったのだ。



なんで私は、ドキドキしてるんだろう。


あんなことされたのに……っ。



そして、私は知ることになる。


“裏”葉月くんは、もっと危険なオオカミだってことを。