大会当日の朝は見事なまでの快晴だった。



「うわぁ……すごい人だよ!葉月くん!」


「女子いすぎでしょ」



日曜日ということもあり、相変わらず圧倒的人気を誇る飛鳥くんを一目見ようと、多くの女子が集まっている。


熱い声援と視線は、飛鳥くんに注がれていた。


その度にクールビューティ詐欺を働く東条先輩がキッと睨みをきかせているではないか。


恐るべし詐欺師。

記録をつけてないで、私のブレザーのボタンをつけ直ししてもらいたいものだ。



「てか、これじゃ葉月くんの存在に気づいてもらえないよ!?」


「これだけ人がいたら仕方ないんじゃない?」


「ダメダメ……!飛鳥くんは、見に来てほしいって言ってたんだから!」


「なんでお前が張り切ってんの?」



ぷっ……と笑う葉月くんを見て、胸を撫で下ろした。


よかった。

葉月くんの表情がなんだか明るく見えるんだもん。