東條先輩との中庭での決闘を包み隠さず伝えると、葉月くんが目を見張って息を飲むのがわかった。



「へぇ。聞いたんだ?双葉から」



葉月くんは背中を向けて再び外の世界に視線を走らせたけど、私はしっかり葉月くんの背中に頷いた。


私は、目を逸らしたりなんてしないよ葉月くん。



「聞いたよ。葉月くんがどういう子で、どれだけすごかったか……」



葉月くんはなにも言わず、私を見ない。



「どれだけ、傷ついたか……」


「傷ついた?なにいってんの?」


「っ、」



窓の世界から再び私へと向けられた温度を失くした瞳は、もう何も映していないように見える。


目の前にいる私でさえ。



「それ、俺が傷つけたの間違えだよ?本当、ハズレてばっかのヘボ探偵なんだから、いい加減廃業にしなよ」



まるで突き放すような言い方だった。