「急に跳べなくなって。全然ダメなんだ」



大会はすぐそこまで迫っている。

前は、あれだけ今は楽しいと話してくれたのに、飛鳥くんの表情は曇ったままだった。



「飛鳥くん、それってもしかして葉月く……」


「最初の頃に戻っちゃった」



葉月くんに関係してるんじゃないかと思って尋ねようとしたけれど、遮られてしまった。



「最初……?」


「うん。俺……中学から陸上始めて。でも、高校に入ってからずっとまともに跳べなかったって話しただろ?だから、本当はエースとか言われるような奴じゃなかったんだ……」


「で、でも……跳べるようになったって。それに自己記録も伸ばしてるって、女の子達が騒いでて……」


「それは……」



と、不意に飛鳥くんが澄んだ青空を見上げる。


私も追いかけるように飛鳥くんに視線を走らせた。


その時……私の中で、確信みたいなものが生まれたんだ。