「ん……それが、飛鳥くんの調子が悪いみたいなのよね。大会はもう明後日なのに」



どうやら飛鳥くんはここのところ跳べていないらしい。


この度の市内大会の会場はウチの学校に決まっており、明後日は本番だ。


それなのに、飛鳥くんが跳べなくなってしまったなんて。



「羽澤琴莉さん、いる?」



その時、キンッと凍ったような声で名前を呼ばれた。



「ヒッ……!?」



教室の入口から私を訪ねてきた人物にギョッとした。



「……で、出た!今度は何したのよ、琴莉!」



そこには、咲希ちゃんやクラスメイト達でさえ怯えるくらい怖い顔をした東條先輩が私を睨んでいた。


きっと……いや、絶対に葉月くんのことだと思った。


みんなが怖がっているので、私は素直に東條先輩の元へと向かう。


それに、この人が逃がしてくれるわけがないのだ。