「あれ程までに瞬きも惜しんで葉月を見ていたのに、どうしたんだって騒がれてるのよ!?」


「……」



多分、クラスのみんなは面白半分で言っているのだろうけど、こちらはそれどころではないのだ。



「熱心に調査されていたと思いますが、探偵業を辞職した経緯は?」



突然、咲希ちゃんがペットボトルをマイクのように持って私に向ける。


探偵になった覚えはないけど、葉月くんがそんなことを言うからすっかりペースに乗せられてたなぁ……。



「答えられないんですか!?」


「い、いや、調査対象者からの強い拒絶というか……」


「別れを切り出したのは?」


「私ではないことは確かで……」


「未練は?」


「そりゃもうタラタラで……」


「これを見てる彼に、伝えたいことはありますか?」



……って、これなんのインタビューよ。



「もう、咲希ちゃん!!」


「あ。やっといつもの琴莉に戻った」


「え?」



マイクに見立てたペットボトルを私が奪うと、咲希ちゃんがふぅーっと肩の力を抜いた。