まるでこの世界には、私と葉月くんしか存在していないような気持ちになって……。


そっと唇が離されると、葉月くんの息遣いが聞こえた。



あまりにも呼吸が近すぎる距離に、キスをした事実に、私は何度も瞬きを繰り返した。



「……やば」


「な、な、なんで……キス……っ」



がばっ!と布団を鼻まで引っ張り上げて、私は声にならない声で必死に口を動かした。



「……ダメなの、俺の方だった」


「……!?」


「こっち見んな……」



目が少し暗闇に慣れて、顔の半分を隠すように、葉月くんは口もとに手を当てているのがわかる。



な……なんで、葉月くんがそんなに余裕なさそうに照れてるの……?


そっちの方が予想外だよ……。



「早く寝ろ……」



無理……だよ。


葉月くんのせいで、眠れないよ……!


ドキドキして、気絶しそうだ……。