野宿になるところを救ってもらった上、着替えまで借りてるっていうのに、そう煩わせるわけにはいかない。



「もういい?」


「……ダメぇ!」



葉月くんが背中を向けてるのに、なんだか変に緊張して服を着る手つきがおぼつかない。


葉月くんのトレーナーとズボンは、やっぱりサイズが大きい……。



「終わった?」


「……きゃっ!?まだ着替え終わってないのに!」


「あ、わりぃ」


「みっ、見た……?」


「いや?ヘソしか見えなかったよ?」


「~~~~……!!」



顔から湯気でも出そうとはこのことだ。


例えおヘソでも本当に見られるなんて……っ。



「ぶかぶかだな」


「だって葉月くんの服だから……」



なんだか満足そうな表情を浮かべた葉月くんに首を傾げる。



「……やば」


「な、なに?」



葉月くんがいきなり口もとに手を当ててそっぽを向いた。



……え、もしや色気がないから?


お母さんにも散々「揺れるものが微塵もないわねぇ」と、呆れ顔で首を左右に振られることも多々あるし。


いくらなんでも失礼じゃない!と、追求しようとしたら。