慌てて家を出る時……いいや、どうせお母さんが帰ってきてるし!と思い込んで鍵を持たずに飛び出したんだった……。



お父さんは夜勤の日……。

咲希ちゃんは深夜配信閲覧のため仮眠中……。


終わった……。

小言がうるさいなぁと思っていた母上の存在をこれ程までに切望したことはない。



「どうした?」


「……葉月くん。野宿するのに……安心安全な場所を知りませんか」


「野宿?」



半分呆れ顔で聞き返してくる葉月くんに、私は全ての事情を洗いざらい話した。



「そ……そんな、笑わないでよ!」


「こんなん笑うでしょ。鍵くらい毎日持って歩きなよ」



ぐぬぬ……。

そりゃ身から出た錆だけど!!


すると葉月くんは、なにやら得意気な顔をしてこう言ったのだ。