｢それ、違う誰かと勘違いしてるとかではないのよね？｣
｢葉月くんだよ……！｣
別人ではないけど“裏”葉月くんの方、とは口が裂けても言えないけど。
｢ふ……ふぅん！｣
咲希ちゃんはやっぱりあんな奴止めな！と、眉を吊らせるのかと思ったのだけど。
｢でも、よかった｣
｢え？よかった？｣
咲希ちゃんは怒るどころか、なぜか安堵したように声をもらす。
｢わたしね、もしまた隣の席の男子に琴莉が傷つけられたらどうしよって不安で。だから、葉月のことも過剰になってて｣
……そっか。
咲希ちゃん、ずっと心配してくれてたんだね。
｢だけど、葉月のこと話してる琴莉が楽しそうだから安心したわ。まぁ、イケメンじゃないから彼氏候補には程遠いだろうけどね！｣
｢どうしよう咲希ちゃん……嬉しくて泣きそう｣
｢や、やめてよこんなとこで！わたしが泣かしたって思われたら、酷い女だって言われて彼氏出来ないかもしれないじゃん……っ｣
｢そういうとこも大好き……｣
人目も気にせずギュッと咲希ちゃんに抱きついた。
｢こっ、公開告白されてもイケメンとしか付き合う気ないからね！｣
咲希ちゃんなら、きっと素敵な人が現れるよ。
