* * *


「葉月くん楽しかった?」



くるんっと振り返った羽澤の無邪気な顔から、まだ幼さを残した笑みが零れる。



「これって調査じゃなかったの?」


「っ、も、もちろん!」


「何か収穫あった?」



慌てて答える羽澤にさらに追求する。


調査だよ!と張り切っていた羽澤より収穫があったのは、たぶん俺の方。



「あったよ!」



なぜか羽澤は嬉しそうにはにかんでいて。



「葉月くんはホラーが好きで、歩く速度が意外と遅くて、それに……えと、想像力が、豊かで……っ。未来のことを勝手に想像するのはズルいけど……」



思い出したら恥ずかしくなってきた……と、ぶつぶつ言いながら羽澤が顔を赤くする。


歩くのが遅いって、なんでかなんてきっと少しもわかってない。


何度も言うけど、ズルいのはお前の方だろ。


本当、人の気も知らないで。

見てるこっちが顔戻んなくなるから、結構キツいんだよね。