「……クラスで仲良くなれそうな奴とか、いるかな?」


「えーと、それは……」



こ、これは返答に困る。

どういう訳か、飛鳥くんが心配そうな表情をしているから。


だから、全くもって話せる相手すらいなそうですなんて言えない……。



「……陰口叩かれたりしてない?」



そりゃもう毎日……とも言えるわけもない。


陰キャだの根暗だの地蔵だの散々だ。



「ちょっと気になってさ。嫌われたりしてないかって。羽澤とは話してるところ、見たことあったから聞いてみたかったんだ」


「飛鳥くんは、葉月くんのことを知ってるの?」



一瞬、爽やかな表情が切なげに歪んだ。



「知ってるよ。きっと俺が一番……」



独り言のように声を落とした飛鳥くんは、強く握った手を悔しそうに震わせた。



「わざわざ呼び出してごめんな。ありがとう」


「あ、待って飛鳥くん……っ」



つい呼び止めてしまったけど、言葉に詰まってしまう。



「葉月はひとりになりたがるけど、ひとりが好きなわけじゃないから。また声かけてあげてくれる?」



悲しげに微笑むと、飛鳥くんは踵を返していった。