深く重いため息をついていると、スマートフォンが着信を知らせて鳴りはじめた。明日美からの電話だ。メッセージを読んで、すぐに連絡をくれたみたいだ。


「もしもし」
『ちょっと優莉、火事ってなに?』
「昨夜、明日美と別れて帰ったらアパートが燃えてたの」


消防車が何台も優莉を追い越していったが、まさか自分の住むアパートだとは思いもしなかった。


『燃えてたのって。あっさり言うけど大変じゃない』
「そうなんだけど」


人に話すときには、なぜか不思議と冷静でいられる。


『それで昨日はどうしたの? どこに泊まったの?』
「あぁえっと……」


いきなり質問が核心を突き、言葉を迷う。隼の部屋にいるとはさすがに言えない。


「知り合いに泊めてもらって」