「すみません、お邪魔します」


優莉が入った途端、センサーライトが灯り玄関が明るくなる。ホールと呼ぶにふさわしいそこは、アンティーク調のブラケットからやわらかな光が注ぐ広い空間だった。
白いフロアタイルに白い壁のためか、明るく開放的な感じがする。

隼について奥へ入っていくと、ドアを開けた先はリビングだった。グレーとブラウンのコーナーソファが白い部屋によく映える。

三十畳? ううん、もっとありそう。

とにかく広く、ハイセンスな印象だ。大きな三面の窓の向こうには星屑のような夜景が広がっていた。


「ホテルのスイートみたい」
「泊まったことがあるのか」


ボソッと呟いたひとり言を隼が拾う。


「あ、いえ、イメージです」


いきなり人を招き入れても困らない部屋に住んでいるのはうらやましい。そこでふと、自分のアパートは焼け落ちたのだと思い出して、とても悲しい気持ちになる。