夕食はどうするかと聞かれたものの、あれこれ欲張ってスイーツを食べたせいでお腹はいっぱい。午後七時には帰宅していた。
最初はあまり時間を取られたくなさそうな感じの隼だったが、終わってみれば半日一緒に過ごしたことになる。
今日は出勤してから、まず本社の宇賀に謝罪の連絡を入れた。社長の隼ならまだしも、優莉は逃げたままにしておけない。
電話口で平身低頭謝ると、意外にもそれほど怒った様子はなかった。水族館で撮った写真があれば、原稿はなんとかなるという。
『それにしてもずいぶんと楽しそうでしたね』
宇賀にそう言われたときにはドキッとした。
行くまでは気が重くて仕方がなかったデートでは、おいしいサンドを食べられたしチンアナゴのぬいぐるみも買ってもらえた。そのうえスイーツ三昧というおいしいものづくしで、優莉にとってうれしい一日だったのは事実。
鬼役の宇賀から逃げたハプニングも、今となってはいい思い出になった気がする。そういった点では特別賞を存分に楽しんだといってもいい。
宇賀との話を終え、隼にも念のためお礼を言っておこうと本社に電話をかけなおしたが、打ち合わせ中だったため秘書の女性に伝言をお願いした。
「仕事が終わったらじっくり聞かせてよね?」
明日美に念押しされ、完成した料理をお客へせっせと運んだ。



