なんでもその抽選会は一等の二十万円分の旅行券からはじまり、ホテルの宿泊券や食事券、エステやスパの利用券など豪華なプレゼントが用意されているという。


「なんかドキドキしちゃうね、優莉」


同期の(はやし)明日美(あすみ)が優莉の腕を引っ張る。彼女は同じ店で働く同僚でもある。

丸く大きな目がチャームポイントの明日美は、彫が深く日本人離れした顔立ちをしており、丸みを帯びたショートボブがとてもよく似合う。ついでに言うと、グラマラスな体にフィットしたサファイア色のワンピースは大人びた彼女にぴったりのため、今日のパーティーでも注目を集める社員のひとりである。黒いレースの無難なAラインのワンピースを着た優莉は、すっかり引き立て役だ。


「でも当たらないでしょ?」


出席者は四百人以上。会場に入るときに受付でナンバリングされたカードを配られたが、優莉はバッグの奥底にしまったまま。数字も覚えていない。


「当たる人は必ずいるんだから、そうとは限らないでしょ?」
「それはそうだけど」