「大丈夫です……」
隼を追って優莉の元までやって来たソフィアが彼と並んで立った。
もしかして、彼女と付き合うから別れてほしいと言われるのかもしれない。
彼女がここに一緒に来た意味を考えて、心が悲鳴を上げそうになる。それをなんとか押しとどめ、まず言わなければならないことが優莉にはあった。
「今日は大変申し訳ありませんでした。私がお客様を疑ったせいで、せっかくのオープンが台無しに……」
泣くつもりはなかったのに涙が滲む。泣くのは卑怯だとわかっているのに声まで震えた。
こんなだから子どもっぽいと思われるのだ。強く逞しい大人の女性になりたいくせに、大事な場面で泣き落とし。最低だ。
「違うよ、優莉」
うつむいた優莉の肩に隼の手がそっと置かれる。
「優莉は間違ってなんかいない」
「……え?」
「あのお客は、クールブロンで次々と異物を混入させていた男だったんだ」



