「ちょうどよかった。キミに聞かせたい話があるんだ」
それはきっと隼絡みの話だろう。それも決して良い話ではない。
「いえ、結構です。失礼します」
階段を上がりきろうとした優莉だったが、高村がそれを阻む。目の前に立ちはだかった。
「聞いておいた方がいいと思うよ。キミにも関係する話だから」
ただでさえ気持ちが沈んでいるのだ。そこにまた燃料を投下するような真似はしたくない。
「本当に結構です」
さらに彼を避けて一段上がると、今度は腕を掴まれた。
「やっ、やめてください!」
強引に引っ張った高村の手を振り解こうとしたが、いっこうに外れない。



