「母が二年前に再婚して花崎になったんです」
「嘘だろ……。優莉のお父さんは宮前悟さん?」
優莉がゆっくりうなずく。
まさか隼の口から父親の名前が出てくるとは思いもしなかった。
思いがけない話の展開が優莉の鼓動を速める。
「信じられないな。優莉が宮前さんの娘さんだったなんて」
隼も驚いたようにまじまじと優莉を見つめた。
優莉もにわかには信じられない。
「再婚したのに妹さんの学費を優莉が?」
生活面での心配はなくなったのにと言いたいのだろう。
「再婚したからといって学費まで面倒はみてもらえないです」
幼い頃の再婚ならまだしも、妹は高校三年生だった。戸籍上の父親だから専門学校の学費を払ってほしいとはさすがに言えない。
「優莉は健気だな」



