「本当ですか?」
一気に心が軽くなり、つい食いつき気味に聞き返す。
「ええ、本当に。あんが濃すぎず薄すぎず、ちょうどいい味加減よ」
「……よかった」
ひとり言のように呟き、優莉はほっと胸を撫で下ろした。
「お肉にもきちんと下味をつけたでしょう」
「はい。下味をつけてから片栗粉でしっかり揉み込みました」
「そのひと手間がおいしく作るコツなのよね」
料理のプロに褒められるなんて思いもしない。こうしたらおいしくなるかもしれないと、想像から仕上がった味付けなのだ。
「優莉の作る料理は、ほんとにどれもうまいんだ」
隼まで褒めるからくすぐったくてたまらない。
「優莉さん、お料理はお母様から習ったの?」
「自己流です」



