「持ってきてくださったもので申し訳ないけど、早速みんなでいただきましょ」
「里帆はシュークリームには目がないからね」


亮介は膝に妹の美織(みおり)を抱き、目を細めた。


「もう、亮介さん、お客さんの前で恥ずかしいから」
「べつに恥ずかしがる必要はないだろう? なぁ美織」


膝の上の美織に亮介が笑かける。なんだかとてもほのぼのする光景だ。
偽りの関係の優莉たちとは目に見えた格差がある。本物の家族とはこういう穏やかな雰囲気を醸し出すものなのだろう。

里帆はシュークリームの入ったケースを持ってキッチンへ向かった。

ふたりの遺伝子を受け継ぎ、男の子も女の子も将来が楽しみな顔立ちをしていて羨ましい。きっと隼も、里帆のような大人の女性をここへ連れてきたかっただろう。ここにいる四人の大人のうち、優莉ひとりだけが子どもっぽくて心細い。


「亮介たちは相変わらず仲がいいな」
「おかげさまで。それにしても、こんなに若くてかわいい子をどこで見つけたんだ」
「か、かわいくなんて……!」