奥様だろう。透明感のあるとても美しい女性だ。一歳くらいの女の子を抱っこして、傍らにはそれより少し大きな男の子が母親のスカートをぎゅっと握っている。


里帆(りほ)さん、久しぶり」
「ほら隼、紹介してくれよ」
「そうだな」


隼をはじめ、ふたりの視線が優莉に向けられた。


「こちらは花崎優莉さん」


隼の紹介を受けて「優莉です」と頭を下げると、「亮介です」「里帆です」とふたりも続けてにこやかに会釈で返してきた。美男美女のとてもお似合いのふたりだ。

出されたスリッパを履いてリビングへ案内された優莉たちは、勧められたソファに並んで腰を下ろした。

広いリビングはキッチンまでよく見通せて、一画に子どもが遊べるスペースがありなんとなくホッとさせられる。優莉たちに元気よく「一絆(いっき)です」と名乗った男の子は、早速そこに向かい大きなブロックで遊びはじめた。

土産で持参したパティスリーのシュークリームを渡すと、中を見た里帆が「わぁ、おいしそう!」とうれしそうに顔を綻ばせる。