目覚めたばかりのためか衝撃が大きい。まるで夜道で返り討ちにでもあった感じだ。
「大丈夫か?」
クスクス笑いながら彼が優莉の頭を撫でる。そんなことをされ、ぶつけた以上の衝撃が優莉の胸を襲った。
「大丈夫ですからっ」
急いで体勢を整えて起き上がる。
「すみませんでした。ぬいぐるみだと勘違いしてしまって……」
本物の抱き枕はどこへいったのかとキョロキョロすると、フロアにゴロンと転がっていた。いつの間にか蹴り飛ばしたか、突き飛ばしたか。ごめんねと謝りつつ、ぬいぐるみを拾い上げた。
心許なくて、それをぎゅっと強く抱きしめる。
隼人は横向きで頬杖を突き、もういっぽうの手で髪を無造作にかき上げた。少しだけ寝乱れたパジャマが布団の間から見えて、優莉はやけにドキドキとする。
朝から男の色気を放出しないでほしい。
優莉がポーッと見ていると気づいたのか、隼が唇の端をニッと上げる。ニヤリという意地悪な笑みだった。
こんな日がずっと続くのかと思うと先が思いやられる。優莉ばかりが翻弄され動揺するなんて不公平だ。
そうは思っても、ここを出て生活をできるわけもなく、彼に対する免疫ができるのを待つ以外になかった。



