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少しずつ覚醒していく、ぼんやりとした心地の中にいる時を堪能する。チンアナゴを抱きしめ、優莉は眠りの波の狭間を行ったり来たりしていた。
……あれ? チンアナゴってこんなに硬かった? 手触りももっとモフモフしていたはずなんだけど……。
身に覚えのない感触にゆっくりと瞼を開けていった優莉は、すぐ目の前にあったものを見て息を止めた。隼だったのだ。
チンアナゴだと思って抱きついていたのは彼の体。その逞しさが目覚めたばかりの優莉の心拍を一気に乱れさせた。
「おはよう。朝から随分と熱烈なアプローチだな」
意地悪な顔をした隼がすぐそばで笑っていた。
「そういうのが希望なら」
「ちっ、違うんです! ごめんなさい!」
あまりの驚きで体がイキのいい魚のように飛び跳ねる。その弾みでベッドボードに頭をゴツンとぶつけた。
「いっ……!」



