言いにくそうに答える気持ちもわかる。女の子の日だなんて優莉よりも不憫だ。
「笑いたければ笑え」
「笑いませんけど」
やっぱりちょっと似合わないなと思って頬が綻ぶ。
「笑ったじゃないか」
「違います。微笑ましいなって思っただけです」
「それを笑ったって言うんだ」
不満そうに隼は顔をしかめた。ほんのりと耳まで赤い。そうして照れて拗ねるのが十二歳上にはとても見えなくて、優莉は失礼ながらかわいいと思ってしまった。
「とにかく表向き、優莉は俺の婚約者。くれぐれも妙な行動はするなよ?」
どういった行動が妙なものなのかはわからないが、素直に「はい」と返す。
「重ね重ねご迷惑をおかけして申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします」
膝の上に両手を揃え、丁寧に頭を下げた。



