聞き返した優莉に隼が深くうなずく。
「そんなに深く考えるような相手じゃないから心配するな」
「そう、なんですか?」
いったいどんな相手だというのだろう。
「ただし、恋人としてキミを紹介したい」
「えぇ!?」
思わずのけ反り、椅子の背もたれに背中を勢いよくぶつける。
真っ先に浮かんだ相手は、隼の両親だった。どこかの令嬢との結婚を持ちかけられて、それを断るための手段ではないかと考えたのだ。
「社長のご両親なんて無理です」
「俺の親なんて言ってないだろう」
隼は軽く笑いながら鼻をクスッと鳴らした。
「それじゃ……」
次に考えられる相手は、隼に一方的に好意を寄せている女性だ。ストーカー並みにつきまとわれていて迷惑しているから、優莉を恋人だと見せつけて諦めさせる算段である。



