「あ、妹にするんですか?」
それならば合点がいく。兄妹なら一緒に住むのもありだろう。
「俺に妹がいないのは、このマンションの管理会社にすでに伝わってる」
「それじゃほかにどうしたら……」
「婚約者になればいい」
隼がさらりと言う。婚約者という言葉の意味を理解しているのか心配になる。
「こ、婚約者って! なにを言ってるんですか」
あまりにも話が飛びすぎだ。
「冗談で言ってるわけじゃない」
「だけど婚約者は家族とは違うんじゃないですか?」
「近々結婚する相手なら家族も同然の扱いになる」
まるでなんてことのないように隼は平然としていた。
結婚の予定どころか婚約も嘘なのに、そんな話が通用するというのか。



