「だからというわけではないがセキュリティはかなり厳しい」
芸能人ならなおさら、安易に人が入れるようなマンションでは落ち着いて住めない。マナーのいいパパラッチやファンばかりではないだろうから。
ここは部屋に来るまでに四ヶ所、暗証番号を入力しなければ通れないゲートが設けられているから相当強固なセキュリティだ。
「一泊や二泊ならなんともないが、一緒に住めるのは家族までという決まりがある」
「えっ……」
それでは優莉はアウトだ。話が悪い方へ転がっていく。
ここにいられなくなったら、どうしたらいいのだろう。
「俺ひとりの名前で契約しているから、その後一緒に住むようになる家族は申請書を提出する義務があるんだ」
その申請書が今優莉の目の前にあるもの。つまりそういったものがあるから、優莉をここに置いておけないと言いたいのかもしれない。説得力に欠けるため、証拠として書類を用意したのだろう。



